今回の記事は古代エジプト文明の歴史について、高校世界史の範囲で説明します。
・この記事は高校世界史の参考書「世界史用語集」などを参考にしています。
頻度4以上(赤文字で記載)の用語はなるべく入れています。
「エジプトはナイルのたまもの」
古代エジプトは、ナイル川を中心に繁栄しました。
ナイル川流域は、洪水のさいに上流から栄養ゆたかな土が流れてくるため、農業がやりやすく、人が集まりました。ナイル川のまわりにはノモスという小さな集落がたくさんつくられました。
このことをギリシアの歴史家ヘロドトスは「エジプトはナイルのたまもの」と表現しました。
ノモスはやがて一つの国に統合され、国王は「太陽神ラーの子」を意味する「ファラオ」と名乗りました。
エジプトの古王国・中王国・新王国の年代
古代エジプトにおいて、特に栄えた三つの時代があり、
- 古王国時代(前27~前22世紀)
- 中王国時代(前21~前18世紀)
- 新王国時代(前16~前11世紀)
といいます。
エジプトの古王国・中王国・新王国の首都
古王国の都はナイル川下流のメンフィスにおかれました。
中王国、新王国では、ナイル川中流のテーベに都がおかれました。
(新王国といっても、クレオパトラの時代よりはるかに前です。)
ナイル川の下流からメンフィスまでの地域を下エジプト(しも エジプト)、テーベ周辺を上エジプト(かみエジプト)といいます。
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エジプト古王国とピラミッド
![](https://yurumestudy.com/wp-content/uploads/2022/07/スフィンクスとピラミッド.png)
古王国の時代には、ピラミッドやスフィンクスが作られました。
クフ王、カフラー王、メンカウラー王のピラミッドが有名です。
そのなかでも、ギザに作られたクフ王のピラミッドが最大です。
エジプト中王国と新王国の時代
古王国が衰退したあと、テーベの支配者によって統合されたのが中王国。なので都もテーベです。しかしこの国も、アジア系のヒクソスという民族に支配され、衰退します。
ヒクソスは、バビロン第一王朝を倒したヒッタイトと間違えやすいので気をつけましょう。
テーベの有力者がヒクソスを追い出してできた国が新王国です。新王国はシリアという地域をめぐってヒッタイトと戦ったことがあります。
アメンホテプ4世の改名と遷都
新王国時代の王として有名なのがアメンホテプ4世です。彼は、アモン=ラーをまつる神官たちが政治に口出しするのに反発して、信仰する神・都・自分の名前を変えた人です。
アモン=ラーとはアモン神と太陽神ラーが融合した神様です。
アメンホテプ4世が行ったことの詳しい内容は
- 当時よく信仰されていたアモン=ラーではなく 太陽神アトンを信仰するように国民に強制しました。
- アモン=ラーは都テーベの守護神だったので、都もテル=エル=アマルナに移しました。
- 自分の名前を、アモン神に由来する「アメンホテプ4世」から、アトン神に由来するイクナートンに変えました。
イクナートンの次の王が、金のマスクで有名なツタンカーメンです。
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古代エジプトの文化
![](https://yurumestudy.com/wp-content/uploads/2022/07/ロゼッタストーン.png)
エジプトの文字はおもに2つあり
- 神聖文字(ヒエログリフ)
- 神聖文字を簡単にした民用文字(デモティック)
の2つがありました。エジプトの文字はパピルスという、草でできた紙のようなものに記されました。
エジプトの文字は、フランス人のシャンポリオンがロゼッタ=ストーンという石版を研究し、解読しました。
そのほか、古代エジプトではいろいろな文化、発明がありました。
- 十進法、太陽暦がつくられました。
- アメンホテプ4世の時代にはアマルナ美術という写実的な美術がはやりました。
- メソポタミアと同じく、多神教を信仰していました。
- ナイル川流域は洪水のたびに荒れた土地を修復したため、土地の大きさを測る測地術が発達しました。
また、エジプトでは死んだ人は死と復活の神であるオシリスの「死者の裁判」を受けて、オシリスのOKがでれば、現世に生き返れる、と信じられていました。そのため
- 「死者の裁判」に備えて、故人のいい人アピールなどが書かれた「死者の書」を棺にいれました。
- 生き返ったときのために遺体をミイラにして保存しました。
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新王国の衰退
エジプト新王国は、紀元前11世紀ごろ、海の民という謎の民族の攻撃で衰退し、滅びました。
「海の民」がヒッタイトをたおし、エジプト新王国を弱体化させた結果、シリア・パレスチナ地域を支配しようとしていた大国たちがいなくなりました。このあとシリア・パレスチナではアラム人、フェニキア人、ヘブライ人といった「セム語系3民族」の活動が活発になります。
海の民
海の民は、前1200年頃に活動した、やたらと強い謎の民族です。
ヒッタイトや、ギリシャのミケーネ文明を滅ぼしたり、エジプト新王国に攻め込んで弱体化させました。
古代エジプトにまつわるマンガ
超ロングラン少女マンガとして知られる「王家の紋章」は、主人公が古代エジプトにタイムスリップする物語。新王国時代が舞台だとみられています。
▼前回のメソポタミアと今回のエジプトの内容をふまえた3択クイズをつくりました。
古代メソポタミア・エジプト3択クイズ
古代メソポタミア・エジプト3択クイズです。習熟度チェックにどうぞ。
![](https://yurumestudy.com/wp-content/uploads/2022/07/スフィンクスとピラミッド.png)
おわりに
古代エジプトでは、古王国→中王国→新王国が順番に栄えましたが、
メソポタミアから来たアッシリアに征服されました。
次回は、アラム人、フェニキア人、ヘブライ人の「セム語系3民族」についてです。
![](https://yurumestudy.com/wp-content/uploads/2022/07/sem_hist_eyecatch-160x90.jpg)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。