高校世界史の範囲を中心にした古代ギリシャの歴史について解説している記事シリーズです。
アテネもスパルタも落ち目になった後、マケドニアという国がギリシアを支配します。マケドニアのアレクサンダー大王はギリシャ以外にも広大な範囲を支配したため、ヘレニズム文化という新しい文化が生まれます。
この記事では以前のギリシアの文化と、ヘレニズム文化についても紹介します。
・この記事は高校世界史の参考書「世界史用語集」などを参考にしています。
頻度4以上(赤文字で記載)の用語はなるべく入れています。
マケドニアのフィリッポス2世
ギリシアの北の方にあるマケドニアの王フィリッポス2世は、前338年のカイロネイアの戦いでアテネ・テーベ連合軍に勝利しました。
「カイロネイヤの戦い」は間違いになるので、しっかり覚えましょう。
そしてマケドニアを盟主とするコリントス(ヘラス)同盟を結成し、スパルタを除くギリシアの諸ポリスを一つにまとめました。
アレクサンドロス大王(アレクサンダー)
フィリッポス2世の死後、息子のアレクサンドロス大王があとをつぎ、アケメネス朝ペルシアを倒すために東方遠征を行いました。
前333年のイッソスの戦いで、マケドニアはアケメネス朝ペルシアに大勝しました。数年後、アケメネス朝ペルシアの王、ダレイオス3世は部下に暗殺され、アケメネス朝は滅びました。
東方遠征では、西はエジプト、シリアを征服し、東はインダス川まで進みました。
アレクサンドロス大王は東西にのびる大帝国をつくりました。
これにより、ギリシアとオリエントの2つの文化が融合したヘレニズム文化が生まれました。
大王は各地にアレクサンドリアという名前の町をつくりました。
なかでも、エジプトのアレクサンドリアにはムセイオン(王立研究所)がつくられ、科学が発展しました。
また、コイネー (共通ギリシア語)を公用語としました。
ディアドコイ
アレクサンドロス大王が即位して10年足らずで亡くなった後、後継者であるディアドコイたちが争い、アレクサンドロス大王の領土は
- プトレマイオス朝エジプト
- セレウコス朝シリア
- アンティゴノス朝マケドニア
の3つに分かれました。
プトレマイオス朝・クレオパトラ
プトレマイオス朝エジプトはアレクサンドリアを都としました。
プトレマイオス朝最後の王が、クレオパトラです。前31年にアクティウムの海戦でローマに負けて、滅亡しました。
セレウコス朝シリアからは、パルティアやバクトリアが独立し、しだいに領土が小さくなっていきました。最終的にローマのポンペイウスに滅ぼされ、ローマの属州になりました。
アンティゴノス朝マケドニアも、ローマに負けて属州になりました。
この後は、ギリシアの文化と、その後のヘレニズム文化をまとめて紹介します。
ギリシア文化
文学・歴史作品
- 詩人ホメロスが書いた『イリアス』『オデュッセイア』(ギリシャ最古の叙事詩です)
- ヘシオドスが書いた『労働と日々』『神統記』
- 女性詩人のサッフォー
- ヘロドトスがペルシア戦争をメインに書いた『歴史』
- トゥキディデスが書いた『歴史』(未完。ヘロドトスとタイトルがかぶってます)
また、オリンポス12神を主役としたギリシア神話は、ローマにも伝わりました。
叙事詩とは、出来事をテーマに書いた長めの詩です。
彫刻
フェイディアスはアテネの政治家ペリクレスの友人で、「アテナ女神像」をつくりました。
建築
ギリシャの建築物は、アテネのパルテノン神殿が有名。ペルシア戦争で壊れましたが、ペリクレスが再建しました。
演劇・詩人
三大悲劇詩人
- 『アガメムノン』を書いたアイスキュロス
- 『オイディプス王』を書いたソフォクレス
- 『メディア』を書いたエウリピデス
喜劇詩人
『女の平和』を書いたアリストファネス
イオニア自然哲学
古代ギリシアでは「万物の根源はなんだ?」という疑問から、イオニア自然哲学という自然についての哲学がうまれました。
万物の根源について、いろいろな説がうまれました。
- タレスは「水」
- ピタゴラスは「数」
- デモクリトスは「原子(アトム)」
が万物の根源だと、それぞれ唱えました。
医学
紀元前4~5世紀のヒッポクラテスは「西洋医学の父」といわれています。
ソフィスト
ソフィストは弁論・修辞の先生です。論破とか得意そう。
代表的なソフィストであるプロタゴラスが残した「人間は万物の尺度である」という言葉が有名です。
哲学
- ソフィストを批判したソクラテス
- ソクラテスの弟子プラトン
- プラトンの弟子で、アレクサンドロス大王の先生でもあるアリストテレス
ヘレニズム文化
アレクサンドロス大王がオリエント世界を征服したことで、ギリシアの文化とオリエント各地の文化が融合したヘレニズム文化ができました。
以前のギリシャ人は言葉が違う人たちを「バルバロイ」といってよそ者扱いしていました。
しかしこの時代は「民族や言葉が違っても、みんな同じ世界の一員だ」と考えるコスモポリタニズム(世界市民主義)という思想が生まれました。
哲学
ゼノンが創始した、禁欲を推奨したストア派(「ストイック」の語源です)
エピクロスが創始した、快楽の追求を推奨したエピクロス派
自然科学
エジプトのアレクサンドリアにあるムセイオン(王立研究所)にいた有名な科学者4人衆
- 地球の周囲の長さを測定したエラトステネス(ムセイオンの初代館長)
- 平面幾何学を大成したエウクレイデス(ユークリッド)
- 地球の公転・自転を主張したアリスタルコス
- 浮体の原理・てこの原理を発見したアルキメデス
こんな昔から地動説ってあったんですね!びっくり。
彫刻
- ミロのヴィーナス
- ラオコーン
★古代ギリシャの最後の記事なのでまとめクイズを用意しました。習熟度チェックにどうぞ。
古代ギリシア3択クイズ
おわりに
以上、アテネ、スパルタのあとにギリシアを支配したマケドニアのアレクサンダー大王や、ギリシアの文化と、ヘレニズム文化について紹介しました。
次回の記事ははローマのお話です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。